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北新宿の家(外観)

北新宿の家(外観)

北新宿の家(外観)
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北新宿
の家
「持続のデザイン」
まちなかの密集したわずかな敷地にあっても、家々の隙間から、狭い前面道路から、陽がさし、風がわたる。思わぬところから視界が抜け、わずかな地面に可憐な花が咲き、鳥や虫たちの鳴き声に季節を感じたりもする。
そんな都市の自然をうけとめるため、坪庭や大小のテラスがつくられた。
「外の居間」と名づけられた3階のテラスから眺める新宿超高層ビル群の大パノラマはなかなかのもので、なにやらアルプスの峰々を仰ぎ見ているようで雄大な気分にさせられる。そして、その超高層ビル群は西に南に増殖しつつあって、その変わり様は巨大な生物を見ているようで興味深い。
高層ビル群の裾野に広がるそのような住宅群は家族の形態を多様に内包し、増改築や建て替えなどの変容を日常的に繰り返しながら、危なげに、したたかに存在し続けてゆく、都市のテクスチャーと化して、私にある種の感動を与えるが、それはたぶん住みつないでゆこうとする持続の意志の集合として感じるからであろう。
超高層ビル群と隣接するこの「北新宿の家」は、そんな意志をもって社会の息づかいとともに歩む、ささやかなそして愛すべき都市の「すみか」である。
東京都新宿区
1994年
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