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天沼の家(洗面コーナー)

天沼の家(タテ露地)

天沼の家(洗面コーナー)
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天沼の家
「タテ路地住居の試み」
若い家族のための「街角住宅」である。限られた敷地であるから、建物は3層程度に重ねられることになるけれど、育ちざかりの子供たちと、いつも目や声の届く関係を保っていたい、家族が成長し変化をしても、常に開いた感じのすまいでありたい。与えられた条件を整理しながら出てきた答えはスキップフロアであった。
つまり、各空間がずれながら重なり、それぞれが立体的につながって、視線が通り、光をとりこみ、風が抜ける。そんな小さくてものびやかなすまいをつくりたいと考えた。
だからこの家の中心は階段である。このたての動線に公から私までのすべての空間が絡んでいる。いわゆる廊下という媒介はなく、階段が「たての廊下」であり、半層ずつずれながら、大小様々なスペースやコーナーがとりついている。
地下1階、地上2階、計3層の空間が、タテヨコに重なって、計6種類のレベルをもつ多層住宅が出来あがった。
例えば地下レベルにおかれた洗面コーナーは露地でみかける井戸端のように、洗面する子供たちと、隣で家事をする親との語らいの場である。
また、地上1階のレベルに設けた広間は、露地のふくらみとしても広場である。そこは集いの場であると同時に子供たちの遊び場であり、家事の場であり、玄関ホールでもある。
様々な空間がずれながら積み上げられ、せまいけれど露地のように生き生きと、濃密な「タテ露地住居」が出来あがった。
1998年
東京都杉並区
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